男は親族の情報を事細かに知っていた…「詐欺でしょ?」「そんなはずない、その通りに従ったら良いです」還付金詐欺をギリギリで回避した女性、間一髪で助かったポイントは?
2023/12/30
後を絶たない特殊詐欺。特に鳥取県では今年、過去最悪の被害額となっていて、被害はさらに増え続けています。今回BSS山陰放送は、先月、詐欺被害に遭いかけた女性に話を聞くことができました。言葉巧みに相手を騙す手口とは?そして間一髪で助かったポイントとは?
田中さん(仮名・60代)
「怖かったし、腹立たしい方が先でした。自分自身に。なんでこんなことにだまされて、分からなかったんだろうっていう」
こう話すのは鳥取県米子市在住の田中さん(仮名)。
先月28日午後4時頃、家の固定電話にかかってきた1本の電話が全ての始まりでした。
【当時の電話でのやり取りを再現】
田中さん「もしもし?」
男「田中さんのお宅ですか?米子市役所のものなんですけど、おばあさんの介護保険の高額医療費の支払いに間違いあり、返還の手続きをしたいと思っています」
田中さん「ああ、そうなんですか、はい」
男「ただ、きょうの午後4時までだった支払いに際しての申請が終わっていません。今からでも銀行で申請してもらえたら、田中さんの口座に払い戻しできるので、後ほど金融機関の者からお電話させますね」
そして翌日。今度は携帯電話に銀行のサポートセンターを名乗る別の男から電話がかかってきました。
【当時の電話でのやり取りを再現】
男「まずは家の近くのスーパーにあるATMに行って下さい」
田中さん「どうして行かなくちゃいけないんですか?」
男「田中さんの口座に返還分のお金が入金されていると思うので、ご確認いただけますか」
手続き前なのに返金ということで少し違和感はありましたが、男は親族の情報を事細かに知っていたため、特に疑うこともなく、男からの電話をつないだまま指定されたATMに向かいました。
指示通りにキャッシュカードを入れ操作を進めると、男はなぜか口座残高の下3桁を教えるよう要求してきました。このあたりから田中さんは、だまされているのではないかと思い始めたといいます。
そして…
【当時の電話でのやり取りを再現】
男「振込の手続きに入ります。振り込み画面から本人を確認するための番号"988100"と入れて下さい。"988100"です。それで確認ボタンを押すだけでいいですから」
田中さん(仮名・60代)
「"00"が必ずついているかを確認してから確認ボタンを押してくれって言われるんですよ。確認ボタンを押したら振り込みになるので絶対そこは押せませんって。
それで絶対おかしいからこれは詐欺でしょ?って言っても、そんなはずないですよ。行政の手続きをずっと順番にやっているだけなので、その通りに従ったら良いですと言われて…」
しつこい男に対し「納得できない。米子市役所に確認する」と伝え、取り消しボタンを押しキャッシュカードを抜いたところ、電話はぷつりと切れました。
田中さんは、詐欺被害に遭う寸前のところでなんとか被害を免れたのです。
田中さん(仮名・60代)
「言葉巧みでした。絶対だまされますよ本当に。ましてや、振り込みしたことがない人だったら絶対分からないと思います」
今回、銀行のサポートセンターを名乗る電話は「050」から始まる番号でした。
この番号に、記者が電話をかけてみると…
「こちらはNTTドコモです。おかけになった電話番号は現在使われておりません…」
警察は「050」から始まる番号は、詐欺グループが身元を隠して入手している可能性があるとしています。
山陰両県では今年、特殊詐欺の被害が増加していて、島根県が過去5年間で最も多い約1億5000万円。鳥取県ではすでに2億円を突破し、過去最悪を更新しています。
米子警察署生活安全課 家納竜馬 警部補
「自分には詐欺の電話がかかって来ない。自分には詐欺が見抜ける。お金がないから大丈夫などと根拠のない自信は禁物です。自分も被害に遭うかもしれないと注意して生活していただくことが大切です」
身に覚えがない電話には、とにかく落ち着いて対応をすることが大切です。
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