2024.12.30 過度なSNS依存に危うさ 大垣・銀座の強盗事件を振り返る
岐阜県大垣市郊外の住宅街で昨年5月2日、強盗事件が起きた。白昼堂々の凶行だった。
これまでに実行犯や指示役、運搬役ら15人が逮捕され、岐阜地裁で裁判が相次いだ。浮かび上がったのは彼ら「匿名・流動型犯罪グループ」(匿流)の体質と、犯行でSNSが果たした役割だった。
実行犯4人は、ガス会社を装って70代の男性会社役員宅に侵入。殴る蹴るの暴行を加えて骨折などの大けがをさせた。
ところが隙を見て男性は窓から脱出。犯人たちは慌てて2200万円入り金庫などを手に逃走した。
うち2人は神奈川から来た友人同士だった。逃走中に指示役を裏切り、強奪物を持ち逃げする。
だが2日後、横浜市内で2人は何者かの襲撃を受ける。逃げる途中に建造物侵入容疑で逮捕され、これを機に仲間たちも次々と捕まっていった。
持ち逃げで窮地に追い込まれたのは、実行犯に携帯電話で逐一指示を出していた指示役の男だった。2人の捜索を知人に依頼するが、黒幕的な上位者から責任を取って5千万円を払うよう脅される。
同時に、時計店から金品を奪う強盗計画をSNSで持ちかけられる。大金を要求された上に自分や家族の危険を感じていた男は、安易に乗った。
大垣の事件から6日後の5月8日、仲間3人と共謀して東京・銀座の高級時計店に押し入った。夕方、白い仮面やカッパを身にまとった異様な強盗団は、日本有数の繁華街で犯行を繰り広げた。
車で逃走したが、袋小路に迷い込む。東京・赤坂のマンション敷地内に逃げ込んだが、逮捕された。時計店侵入からわずか30分後だった。
匿流は主にSNSを使って結び付き離合集散を繰り返す。つながりが流動的な寄せ集め集団で仲間意識は薄い。強奪物を持ち逃げしたり、失敗した者にカネを要求したりするのはその表れだろう。
実行犯も指示役も当時10代。大垣でも銀座でも失敗を繰り返して結局は捕まった。実行犯2人は懲役7年、指示役は懲役10年の判決を受けた。
いずれの事件でも随所でSNSが使われた。
「いい案件きてる!明日明後日だから」「タタキだら?」「いくらってきいてふ?」(原文ママ)。これは大垣の事件でメンバーがSNSでやりとりした内容で、タタキとは強盗を指す。指示役が銀座の強盗に参加したきっかけもSNSの情報だった。
若い世代にとってSNSは欠かせないが、新型犯罪を育む温床になっているのも事実。匿流の入り口になる「闇バイト」に対し、捜査員が架空身分証を使ってSNSで応募する捜査手法を導入する方針を警察庁が決めるなど、対策も始まった。
だが、取材で感じたのはSNSそのものよりSNSに依存し過ぎる危うさだ。社会を知らない、善悪の判断がつかない、想像力の欠如などだ。強盗犯には厳罰が待っていることや、検挙率が極めて高い(2023年=90.5%)ことを知っていただろうか。
SNSはアイテムに過ぎない。健全な社会を保つためのSNSとの距離感を、国民全体で考える時期が来ている。
2024.12.29 東京 江戸川区で連続コンビニ強盗 男は逃走 同一犯か
29日未明、東京・江戸川区のコンビニエンスストアで男が刃物のようなもので店員を脅し、たばこ数点を奪って逃げました。1時間半ほど前にも近くのコンビニで強盗未遂事件が起きていて、警視庁は同一犯の疑いがあるとみて捜査しています。
29日午前3時25分ごろ、東京・江戸川区の「ローソン江戸川平井三丁目店」で男が刃物のようなものをレジ袋に入れた状態で店員に突きつけ「金、金」などと脅しました。
店員はバックヤードに逃げ込み、その後、男はレジを開けようとしましたが開かなかったため、たばこ数点を奪って北西の方向に自転車で逃げたということです。
店員にけがはなく、当時、店内に客はいませんでした。
警視庁によりますと、男は年齢は60代から70代くらいで、黒色のパーカーと黒色のズボン、黒色のサンダル姿で、白いマスクをつけていたということです。
この事件のおよそ1時間半前の午前2時ごろには700メートルほど離れた同じ江戸川区の「セブンイレブン平井6丁目店」でも男が押し入り、同じ手口で現金を奪おうとした強盗未遂事件が起きていました。
警視庁は、犯行の手口や容疑者の特徴が似ていることから同一犯の疑いがあるとみて捜査しています。
2024.12.29 中国人の男が新幹線の荷物棚を物色、今年は十数回にわたって出入国…窃盗未遂容疑で現行犯逮捕
新幹線の荷物棚に置かれていたリュックサックを物色したとして、警視庁は29日、中国籍で住所・職業不詳の男(46)を窃盗未遂容疑で現行犯逮捕した。
発表によると、男は29日午前7時15分頃、JR東京駅に停車していた東京発博多行きの東海道新幹線の車内で、乗客の会社員男性(49)が荷物棚に置いていたリュックを窃盗目的で物色した疑い。容疑を否認している。
年末年始に合わせ、スリを警戒していた捜査員が目撃し、男を取り押さえた。
男は今年に入り、十数回にわたって出入国しており、警視庁は防犯カメラ映像などから、男が新幹線の車内で窃盗事件を繰り返していたとみて調べている。
2024.12.28 【特集】“結婚詐欺”か 男2人起訴 「借金返済のため」 女性から1億円以上をだまし取った罪 捜査関係者かたる実態“巧妙な演技”の裏に「自転車操業だった」
2024年10月、女性に結婚を約束して信用させ現金をだまし取ったとして逮捕された男2人。
その2人が被害女性の前で演じていたというのは、解体業の会社「社長」とその「秘書」だったといいます。
起訴状などによると、名古屋市に住む、いずれも無職の江尻舟一被告(51)と武田佑気被告(33)は、2024年3月から4月にかけて長久手市に住む女性(当時47)に結婚を約束して信用させ借入名目で現金をだまし取った罪に問われています。
起訴状などによると、マッチングアプリで知り合った被害女性の前に社長、秘書として現れた江尻被告と武田被告。
「会社名義の預金口座が凍結されている。大きな工事が期限よりも早く終わり、 下請け業者に支払う工事代金が必要」
2024年3月、会社が窮地に立たされて金が必要と女性に訴えた上、その2日後には…。
「周りが騒ぎ出して、できれば7日にどうにかならないかな? 無理なら8日まで何とか引き延ばしてみる」
金の借り入れを依頼。
これを信じた女性は、2回に分けて現金3650万円を用意して渡します。
しかし、江尻被告が会社を経営している実態はなく、うその話をもちかけ現金をだまし取った“結婚詐欺”とみられています。
この女性の被害総額は合わせて1億円とされていて、なぜ、2人の被告の話を信じてしまったのでしょうか。
■デートは“お姫様扱い”
「(江尻被告は)スーツをビシッと着てベンツに乗って、仕事ができる風には見えました」
こう話すのは、3年前、2人と出会い“結婚詐欺”の被害を受けたと訴える別の女性。(40代・愛知県在住)
出会ったきっかけは被害女性と同じマッチングアプリ。
「すぐに結婚したい」江尻被告は、出会ってすぐに結婚をほのめかしたといいます。
デート先はいつも夜景が見えるなどの高級レストラン。さらに…。
被害を訴える女性:「毎回花束のプレゼントや手土産がすごかったです」「子どもがいるので子どもへのプレゼントももらいました」「だまされていましたけどやさしくて何でもできる人思いのある人だった」
デートの際は、羽振りがよかったという江尻被告。
武田被告は、秘書兼ドライバーとしてデートに参加していました。
被害を訴える女性:「なんでいるのかなっていう疑問はあったんですけども、秘書(武田被告)も私のことを すごく慕ってると私が可愛がるように持っていかせるのが上手でした」
ところが、付き合って3週間ほどで金を要求してきたという2人。
信じた女性は現金2600万円を手渡したということです。
被害を訴える女性:「お金はコツコツ働いて貯めたお金で今まで味わったことのないお金のなさ」「もう毎月が必死です」
■“自転車操業だった”
捜査関係者によると、調べに対し、「借金返済のためだった」などと容疑を認めているという江尻被告と武田被告。
その後の捜査関係者の取材で浮かびあがってきた新事実。
2人は「女性から得た金を別の女性への“借金返済”にあてていた」という趣旨の供述をしていることがわかったのです。
捜査関係者はこう指摘します。「出会った複数の女性にある程度 借金を返済することで、信用を得て、その中の相談しやすい女性から さらにお金を巻き上げていたのでは?結果“自転車操業”の状態だったと思われる」
被害を訴える女性:「まさか自分の遊ぶお金と他にも女性をだますためのお金で使われていると思ってもいなかった」「本当に助けたいと思って貸したお金なので裏切られて悔しいです」
逮捕後の取り調べで容疑を認めていたという江尻被告と武田被告。
初公判は2025年、開かれる見通しです。
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