「ロマンス詐欺」被害→相談した弁護士にもダマされる! “ニセ被害者アカウント”が入口?“弁護士が片棒を担ぐ”理由と「あまりにも美味しすぎる」実態とは
ABEMAヒルズ
2023/12/17 10:00
恋愛感情や親切心に付け込む国際ロマンス詐欺。その二次被害が相次いでいる。詐欺被害に遭った人から、さらにお金をだまし取る悪質な手口。その対策とは?
SNSなどを使い、外国人と恋愛関係にあると錯覚させて金をだまし取る国際ロマンス詐欺。12月5日、この「ロマンス詐欺」をめぐり、弁護士名義を使わせて被害金回収業務をさせたなどとして、大阪府警は弁護士の男ら4人を弁護士法違反の疑いで逮捕した。
これを受け、逮捕された弁護士の所属する東京弁護士会は「弁護士に対する信頼を著しく損なうものであり、重大な事態であると極めて厳粛に受け止めております」とコメントを発表。
こうしたロマンス詐欺を巡る二次被害については、弁護士会などが以前から注意喚起を行っている。一体どういった手口があるのだろうか?
ロマンス詐欺にあったことをきっかけに、現在詐欺撲滅を訴えている女性は「プロフィールに自分がロマンス詐欺の被害者であると記し、『同じ思いの方、何か相談ありましたらDM下さい』などと書いてある。相談すると『ここの弁護士事務所がすごく親切でお金の回収もできたからあなたも相談したらいい』と紹介されるが実はその弁護士に相談しても法外な着手金を取られるだけで、何も動いてくれないという二次被害に遭う」と話した。
女性いわく、ロマンス詐欺の被害者を謳ったアカウントの中には弁護士事務所とグルになっているものもあるという。悪徳弁護士事務所は「すぐに回収できる」「だが早く調査しないと回収できないから至急申し込んで」と急がせ、お金がないと話すとカードローンでお金を用意して振り込むように言われるという。
ロマンス詐欺でダマされた上に、悪徳弁護士事務所からも高額請求される二次被害。どのようなことに気を付ければいいのか?
■国際ロマンス詐欺からお金を取り戻すのは極めて難しい
国際ロマンス詐欺被害者が弁護士事務所に相談するも、高額な着手金だけを払わされて被害額を取り戻せない事案が多発しているという。
鍵になるのは弁護士でない業者と弁護士が提携して弁護士にしかできない行為を行う「非弁提携」だ。
『ABEMAヒルズ』は東京弁護士会で非弁提携弁護士対策本部に所属し、いち早くロマンス詐欺の二次被害問題に警鐘を鳴らしてきた小早川真行弁護士に詳しい話を聞いた。
小早川弁護士は「東京弁護士会のウェブサイトに掲載していることはもちろん東京弁護士会の見解だが、ここで私が話す内容の中でウェブサイトに掲載されてないものについては、私の個人的な見解だ」と前置いた上で、国際ロマンス詐欺について「詐欺の中でもお金を取り戻すことは極めて難しく、ほとんど不可能と言っても過言じゃないくらいだ。弁護士に頼んだから回収できるというものではない」と述べた。
なぜ、お金を取り戻すのが極めて難しいのか?
小早川弁護士は「詐欺でお金をダマし取る際には『口座振込』と『暗号資産』という二つの方法がある。まず、口座振込に対しては振込詐欺救済法で口座凍結はでき、名義人がどこの誰かを正確に把握することもできるが、そこから回収に繋がらない。なぜなら口座にはお金が残っておらず、口座の名義人も詐欺師本人ではなく、さらには口座を詐欺師に使わせる人はお金を持ってないからだ。暗号資産については、取引所を追跡することはできるが、資産は海外に流れていてそこで終わってしまう」と解説した。
また、ロマンス詐欺での被害額を回収できると見せかける広告があふれている背景については「弁護士の広告は昔は禁止されていたが2000年に自由化され、弁護士の報酬も2004年の4月に自由化された。 “過度な期待を抱かせる広告”は禁止されているが、実のところ氾濫している」と説明した。
さらに小早川弁護士は、非弁提携に手を染める理由として、ロマンス詐欺ならではの理由を挙げた。
「国際ロマンス詐欺は被害額が大きく、数千万円払ってしまう人もざらにいる。その数千万円を回収する案件ということで着手金が100万円〜200万円と高額になる。これが非弁業者からしたらあまりにも“美味しすぎる”ネタであり、彼らはこのことに2年ほど前に気が付いてしまった」
とはいえ、名義を貸すリスクが非常に大きい中、なぜ弁護士は犯罪の片棒を担いでしまうのか?
小早川弁護士は「弁護士が増えていることも背景にあるが、高齢であったり、病気であったり、懲戒処分を受けたなどの理由で稼ぎがなくなった弁護士に非弁業者が寄ってきて、『いい話がある、収入はしっかり保証します』などと話を持ちかけるのが発端となる」と実情を語った。
さらに悪いことに、その被害は公になりにくいという。
「国際ロマンス詐欺被害に遭い、さらに弁護士の二次被害に遭ったからといって、顔と名前出して訴える人はなかなかいない。実は知られていないだけで、ものすごい数の被害が発生している」
さらに小早川弁護士は、SNSの自称“被害者アカウント”が弁護士事務所を案内するケースについて、「直接手口を見たわけではないが、明らかに怪しすぎる。そのアカウントがどこの誰なのかは明かされていないわけで、そのアカウントが紹介する弁護士がまともな弁護士である保証はどこにもない」と指摘。
では、どうしたら信頼できる弁護士を見分けられるのか。
小早川弁護士は 「まずは国際ロマンス詐欺の被害金はほぼ取り戻せないことを知ってほしい。真面目な弁護士がこの案件を受任する場合もあるが、着手金を高額にはしない。例えば数万円程度で受任して、『確実に取り戻せるわけではないが、できるとこまでやってみましょう』と提案するのであれば不誠実ではない。着手金の時点で何十万円、何百万円と取るような弁護士には依頼すべきではない」と説明。
反対にリスクが高い弁護士の特徴としては、所属弁護士が一人、または少人数にもかかわらず「24時間365日対応をうたっている」「全国対応をうたっている」「LINE相談が可能としている」「電話番号が日本弁護士連合会に登録しているものと違う(0120等)」(以上、東京弁護士会サイトより)などが挙げられるという。
上記には一見“親切”に見えるものもあるが、小早川弁護士は「少人数にもかかわらず1日に何件も連絡が来る状況に対応できるはずがない。例えば1日に3件ほど受任したら、1カ月で100件、半年で600件になり、誠実に処理できるわけがない。まず間違いなく事務員と称する、非弁業者の兵隊が処理している」と述べた。
もう一点、ポイントとして、「対面で弁護士に会い、弁護士の説明を聞いて、紙の委任契約書に署名するべき」と説明。
悪質な行為をする弁護士がいる中で、自浄作用を働かせるのは難しいのだろうか?
小早川弁護士によると、「約5万人の弁護士がいる中で、非弁提携弁護士は極めて少なく、私の感覚では0.1パーセント程度だ」という。とはいえ、実際に悪質な行為をする弁護士がいる以上、依頼する際には上記のポイントや、東京弁護士会サイトに掲載された「注意点」なども参考に、信頼できる弁護士か見極めることが必要だ。
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